子ども伝道(2)
「なんとかしたい」
藤村良彦
子ども伝道準備室長
藤沢オリーブチャペル牧師
教職研修会(MM33)が熱海で行われ(2025年5月13-15日)、分科会において子ども伝道についてご一緒に考える時間をいただきました。そこでご紹介した資料を改めて共有させていただきます。
日本国内の新生児出生数は1980年150万人でしたが、2023年72万人となり、減少し続け、半減しています。全人口に対する14歳以下の子どもの割合は1980年25%でしたが、2023年は11%となっています。昔は地域の中の4人に1人が14歳以下だったのに、今では10人に1人となっているということです。
アッセンブリー教団の教会学校には1980年6000人の子どもたちが集まっていましたが、2023年は1585人でした。40年間で4分の1となったのです。出生数の倍の速さで減少しています。「地域から子どもたちが消えてしまった」という感覚は、子どもたちが溢れていた時代を覚えておられる方々が感じる感覚ですが、それ以上に教会内で子どもたちが減少しているという実情をどのように受け止めたらよいのでしょうか? 少子高齢化だけでは説明できない現状です。教会は魅力を失ってしまったのでしょうか?

現在119教会が教会学校を開催しています。日本中の119か所で教会学校が開かれ、子どもたちに福音が毎週届けられていることに希望を感じます。その現場で共に労しておられる牧師、またスタッフの方々と情報を交換し、共に励ましあいながらこれからを歩んでいきたいと願っております。また、新たに子ども伝道を開始することを願っておられる方々の力となることがどのようにできるのか、今模索しているところです。
教職研修会でお配りした子ども伝道準備室からのアンケートには、以下のような要望が寄せられています。
◯教会学校教師の交流と祈り会があったら嬉しい。
◯ゲーム、賛美紹介の動画がほしい。
◯学年によるフォローの仕方を知りたい。
◯子供達が信仰決心する伝道テキストが欲しい。
◯子供たち対象の洗礼講座テキストが欲しい。
◯教会学校教師のための聖会を企画してほしい(聖霊の満たしが必要)。
◯クリスチャンホームの子供たちの信仰継承をどうしたら良いか考える会を持ってほしい。
〇アドバイザーとして定期的にアドバイスしてほしい。
〇ゲームやイベントのアイデアを教えてほしい。
〇子ども伝道のスタッフをしているユース世代の証を聞いたり、奉仕している姿を見たり、交わりの機会が欲しい。
〇子ども伝道の新しい方法の情報が知りたい。
〇教区等で共有できる子ども伝道に有効な遊具などを買うサポートが欲しい。
〇子どものイベントにスタッフを送って欲しい。
〇伝道費がもっとあれば効果的な伝道ができるのに。資金が不十分で、財政が厳しい。
これからまだご意見が寄せられると思いますが、どこから取り組めばよいのか途方にくれます。ですが、それぞれの場所で奮闘されている姿が見えてきて感動しました。こんなにも「なんとかしたい」と篤い想いを持っておられる同労者がおられるのですから、この祈りを主が聞いて下さらないはずがない、と確信しているところです。
28年前、神学校を卒業して藤沢での開拓伝道を開始しました。自分の生まれ育った地で開拓をしたいと願い、神学校在学中もそのために備えていました。教団からの支援は受けられず、母教会である金沢キリスト教会からの経済的支援でひとり現地に飛び込み、ただできることを一生懸命がむしゃらに行なっていました。
すべてがひとりからのスタート、今考えるとゾッとしますが、当時は熱意だけで歩んでいました。母教会にいた時には多くの子どもたちが集まる公園伝道や、若者たちと一緒の活動でした。開拓伝道がはじまると「ここは世界一小さな教会だ」という悲壮感でいっぱいになり、思わず飛び出して駅前で伝道しました。小学生は比較的教会に来てくれやすいと考えて、毎週日曜日に「映画上映会」と題して『トンデラハウスの大冒険』のビデオ上映会を行ないました。賛美をして、ビデオを見て、ショートメッセージの1時間でしたが、ひとりで行なう教会学校としてはまずまずだったように思います。2年後に結婚し、夫婦での、そして子どもが生まれて家族での働きとなっていきました。
教会が、一戸建ての時、テナントの時、レンタルルームを借りていた時、広い場所を確保できた今では、その時々で大きく内容が変わっていきました。その中で共通していることは「どうしたらいいんだろう」というモヤモヤが、祈りとなっていったということです。だからこそ、アンケートを読みながら、足りなさを感じている、どうしたらいいかわからない呻きを感じている、ということに将来性を感じたのです。

ローマ人への手紙 8:26【口語訳】
御霊もまた同じように、弱いわたしたちを助けて下さる。なぜなら、わたしたちはどう祈ったらよいかわからないが、御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下さるからである。

コロナで混乱した5年間を過ごしました。さまざまな活動に制約がありましたが、こんな時だからこそ、子どもたちに取り組もうと考え、行なっていた子ども食堂をベースに各種団体から支援金を頂き調理器具や棚の整備、子ども向けの活動を充実させました。ある年キャンプに支援してくださる企業があり、教区で行われるキャンプに格安で小学生たちを連れていくことができました。その年から、未信者の家庭から来ている子どもたちが教会学校にも集うようになりました。キャンプの中で信仰決心や洗礼決心をする子どもたちも起こされ、これからフォローが必要となっているところです。「どうしたらいいんだろう」という呻きに主が応えてくださいました。
数週間前の平日、小学4年生の女の子が尋ねてきました。「せんれいって、いつがいいの?」「そうだなあ、湘南海岸でやるから、夏がいいね」そう答えると「〇〇ちゃんが受けるって。でんどうしておいたから」と言って去っていきました。私の知らないところで、主は働かれておられる。神学生の頃学んだ大切なことの一つに「聖霊様のおじゃまをしない」ということがあります。人間的な頑張りで、じゃまばっかりしてきてしまったようにも感じました。
教会の魅力は建物でも、礼拝スタイルでも、若者や子どもたちが溢れていることでもないはずです。教会のもっている財産は、建物でも、積立金でも、設備でもないはずです。でも私たちはこれからのことばかりにとらわれてしまいます。ないものを数え、他と比較するならば多くの欠けたところばかりが見えてきます。
教会の本当の魅力はあなたです。今日も子どもたちがやってくることを準備し待っている、初めて来ても歓迎してくれる、温かな言葉をかけてくれるあなたこそが教会の魅力なのです。
教会のもっている最大の財産はあなたです。どんなに疲れていても、職場や家庭に問題があったとしても、変わらずに子どもたちに心を向け、時間を使い、できる精一杯をお捧げしている姿は、教会が誇るべきもっとも価値ある財産です。
どれもすべて正しい受け止め方です。
でもこれらが私たちが子ども伝道を行う動機ではないはずです。
キリストにしか、救いがないのです。
ですから、あきらめないでください。
あなたのそばに、必ず、福音を必要としている子が今いるからです。
開拓当初から今に至るまで言い続けていることがあります。礼拝者のいないところからのスタートでしたから、ひとりでも来られたら礼拝をしました。ひとりいてくれることが嬉しかったのですが、開拓から20年間、日曜日の朝になると「今日は誰もいない日曜日かもしれない」という恐れに囚われていました。ですから、こうお伝えしています。
「神さまに対する最高のご奉仕はなんだかご存じですか? 奏楽者になることでも、掃除当番をしてくださることでもありません。それは椅子に座って共に礼拝に参加してくださることです!」

さあ、今日も最高のご奉仕を主にお捧げしましょう。

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