「明るく、楽しく、備えつつ」

田中 絹子
平野キリスト福音教会
今、日本は「超高齢化社会」と言われています。2023年の統計では、高齢者(65歳以上)は人口全体の30%に達しているとのことです。平野キリスト福音教会の礼拝出席者を見ても、半数以上が高齢者です。ただこの状況を特別に嘆いているわけではありません。若い人たちが教会にあふれ、新しい賛美を元気いっぱい歌っているのも素晴らしい神様の祝福だと思いますが、高齢者も心から喜んで賛美を神様にささげておられます。その姿には本当に励まされています。


「あなたがたが年老いるまで、私は神。あなたがたが白髪になるまで、私は背負う。
私が造った。私が担おう。私が背負って、救い出そう。」
イザヤ書46章4節
「あなたがたが年老いるまで、私は神。あなたがたが白髪になるまで、私は背負う。私が造った。私が担おう。私が背負って、救い出そう。
イザヤ書46章4節


この御言葉に感謝し、神様に期待して日々過ごしておられる方も多いと思います。私たちの教会でも同じです。でもどうしようもない私たち自身の問題もたくさんあるのです。特に高齢者にとって大きな問題が体力の限界と、人生の終わりについてです。私も10代の時には自分が30代になることが想像できませんでした。20代の時には50代のことなど遠い世界のように思えました。
ところが40代になって少しずつ白髪が出てきたり、近くのものがかすんで見えるようになると、俄然「老い」という言葉が迫ってきました。50代になるとやたら病気や病院の話で盛り上がるようになってきました。60代になると物忘れ、人の名前が出てこない、年金の通知など、自身の内から外から「年寄」というレッテルを貼られているようで落ち込む人も多いと聞きます。
また、老いと同時に「死」という言葉にも敏感になる人が多いようです。クリスチャンは死んだ後は、天国へ行けるという素晴らしい約束を握っているので、死後については心配していないのですが、それまでの病気や経済、また身の回りのことなど心配の種が尽きないようです。
私が平野キリスト福音教会に遣わされたころ、高齢者の方々が一様に言っていた言葉がありました。「先生、ピンピンコロリが一番エエ(良い)と思うんや!」。私が「どうして?」と聞くと、「この死に方が誰にも迷惑かけないでエエのよ。寝込んだり誰かの世話になったりしたら迷惑やんか」。私はその言葉に対して「いや~、昨日まで元気やった人が急に亡くなられること、これが一番残された者には迷惑やねんけどな~」と言うと、高齢者たちは「なんで⁉」聞き返してきました。

私は以下の理由でそのことの説明をしました。
- ➀家族や親しい人との別れの時が必要
- これができていないと残された人たちは痛みます。
- ➁持ち物の整理と財産について
- これも話し合っておかないと後々混乱が生じます。
※特に預金等はたとえ家族であっても解約したり引き出したりすることが困難です
- ③葬儀やお墓のことなど自分の希望を伝えておくこと
- 特に親族がクリスチャンでない場合は故人の希望通りにならないことがあります。

これらのことを説明すると、高齢者の方々は「こりゃ簡単に死ねんわ(笑)」と言って笑っておられました。このような3つのことは私が実際に経験したり、相談を受けたものです。笑いごとですまないことが自分の死後に起こってくるのが現実です。もう自分は天国にいるから問題はないのですが、残された者にとっては問題が続々出てくるのです。そこで平野キリスト福音教会では教会全体に、自分の人生終盤において教会に家族に希望することは何か、また葬儀とお墓の埋葬についての相談を受け付けることにいたしました。いわゆる教会における『終活』のお手伝いです。
まずは家族とこのことについてしっかり話し合ってもらうことを勧めました。クリスチャンホームであってもなくても、ご自分の希望と家族の思いを互いによく知ることはとても重要です。この件に関しては、教会が踏み込むことはなかなか難しいです。また信仰の故に家族と上手く意思疎通ができていない場合もありますが、このテーマはご本人も家族も避けては通れないものですので、これを機会にしっかり家族と向き合ってくださいとお勧めしております。
また葬儀に関しては、信徒また信徒の家族、さらには教会とは関係のない全く飛び込みの方に関しても相談を受け付け、教会で出来ることを提示しております。

平野キリスト福音教会は一人暮らしの高齢者が多くおられます。それらの方々は自分の最後(葬儀)にどれくらいの費用が必要なのかとても心配しておられます。それらの方々の相談を受け付け、葬儀のプラン(葬儀社のプランを参照)を説明して教会で葬儀の経費をお預かりすることもしております。終活や葬儀の話など高齢者にとって辛い話題ではないかと思われるかもしれませんが、明るく楽しく、でも近い将来を見つめて話し合うことはとても大切なことだと思いませんか?
現在、平野キリスト福音教会では90代の兄姉が、礼拝に祈祷会に元気よく集ってきておられます。みんなでお祈りして、お弁当を食べて好き勝手におしゃべりして(たまに私に叱られたり(笑))、お掃除して、「ほな、またね~(それではまたね)」と元気よく帰って行かれます。その姿に本当に励まされ感謝しております。

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