
※本記事内の個人名や国名等についてイニシャルで表記しています。
「歓喜」の種が成長するとき
~主が託してくださった働きと、これからのビジョン~

これまで3回にわたり、主が(NGO・D〈仮称〉)を通してなさってきた働きをお証ししてきました。すべては祈りと出会いから始まりました。しかし振り返ってみると、それは主が人々を祝福し喜びで満たすために蒔かれた「歓喜(Delight)」の種であったのだと思います。
今やこの働きはB国各地の数百名もの子どもたちの祝福となり、またこの働きのために祈り支えてくださる方々にとっても大きな喜びとなっています。祈りから始まった小さな働きが、主の御手によって広げられてきました。
主が託してくださった4つの働き
主は(NGO・D〈仮称〉)に四つの働きを託されました。児童養護施設、教育支援センター、小学校、隣人への働きです。これらは別々の活動ではなく、互いに結び合いながら神の愛を地域社会へ流していく働きとなっています。
①児童養護施設の働き
施設には主に厳しい貧困家庭にいた子どもたちが生活しています。子どもたちは日々の生活の中で、「どんな状況にあっても、イエス様は私を愛してくださっている」ということを言葉だけではなく体験として知るようになっています。愛されているという確信は、人の人生を変えます。恐れを希望へ、絶望を未来へと変えていきます。
この確かな「デライト」の土台の上に、子どもたちは将来への希望を持って成長しています。すでに複数の子どもたちが中等教育を終え、新しい人生のステージへと進みました。そして感謝なことに、彼らの心には社会で誰かの助けになりたいという愛の炎が燃えています。主の愛に触れた人は、自分だけのために生きる人生から、他者のために生きる人生へと変えられていくのです。
-1024x768.png)
②教育支援センターの働き
子どもたちが貧困の連鎖から抜け出すためには教育が不可欠です。私たちは国境沿いの貧しい地域五か所に教育支援センターを設け、学校から帰ってきた子どもたちに補習支援を行っています。
しかしこの働きの目的は、単なる学力向上ではありません。私たちは同時に、子どもたちの霊的教育にも取り組んでいます。その結果、クラスで一番、学年で一番の成績を収める子どもたちが現れるだけでなく、人格豊かな子どもたちが育ち、地域の親たちを驚かせ喜ばせています。
③小学校の働き
児童養護施設の翌年に開校した私たちの小学校は、当初は施設で暮らす子どもたちが中心でした。しかし子どもたちは日々の学校生活の中で、朝礼やテストの前などに共に祈り、福音に触れながら学びに励んできました。
そのような歩みの中で、子どもたちは少しずつ成長し、人格・学力ともに優れた子どもたちが育まれていきました。その姿は地域の人々の目にも留まり、やがて学校の評判は周囲に広がっていきました。今では近隣の多くの家庭が、自分の子どもをこの学校に通わせたいと願うようになっています。
以前、この小学校の評判を聞いた遠方に住まう一人の親御さんが、わざわざ私たちのもとを訪ねて来られたことがありました。その方は、足に障害を持つ自分の子どもをぜひこの学校に通わせたいと願っておられました。子どもが安心して学べる場所を探している中で、この学校のことを知ったというのです。そのお話を聞いたとき、私たちは改めて大切なことに気づかされました。主が与えてくださる教育の場は、すべての子どもたちに開かれているべきものだということです。
そこで私たちは、障害を持つ子どもたちも安心して通い、学ぶことのできるバリアフリーの小学校校舎を建設し、さらに通学のための交通手段を設けることができないだろうかと構想を練り、祈り始めています。
④隣人への働き
主が示してくださった第四の働きは、隣人への働きです。ある日、施設の子どもたちに環境教育を行い、地域のゴミ拾いをしようと声をかけました。子どもたちは学習を通して自分たちの住まう地域のゴミ問題を認識し、ゴミ拾いを始めました。すると子どもたちは道端にある見逃してしまいそうな小さなプラスチックごみまで見つけ出し、熱心に拾っているではありませんか。それだけでなく、近隣に住まう方々にプラスチックごみの問題性を頑張って説明しているのです。近所の子たちからごみを拾う姿をバカにされることもありながらも、その手は怯まず、最後まで地域のゴミに向かい続けました。幸いなことに地域の子どもたちの中には興味を持って手伝ってくれる子たちも現れました。施設の子どもたちの行動が地域を巻き込み、小さくとも大きな足跡を残したのです。
-1-1024x865.png)
施設の子どもたちは祈ることに熱心です。地域の問題のみならず、国が抱える様々な問題のために毎日朝に夕に祈りの手をあげています。さらには世界の国々で起こる様々な事件や災害を知るなり、それを自分ごとのように時に涙を流しながら祈っています。彼らは施設にいるからといって、非力ではありません。最も力あることは主により頼み、祈ることであると知っています。かつて助けを必要としていた子どもたちが、今や地域、国、世界を祝福する者となっているのです。主の愛に触れた人は、祝福される者から祝福する者へと変えられます。
恒久的ベース、新キャンパス施設の完成
2025年12月末、私たちの新キャンパス施設が完成しました。そこには十分な広さの児童養護施設の男女寮、食堂兼礼拝堂の台所付き多目的ホールが建ち、子どもたちの新しい生活を祝福しています。6年前に私たち責任者二人は初めてこの土地に立ち、主に求めて祈りました。5年前に主が支援者を起こされ、無利子融資を受けて購入することができました。またさらなる無利子融資を受けることができ、約3年前には埋め立て工事をすることができました。しかし建築工事が始められる見通しはたっていませんでした。そのような中、2023年10月、隣の川の護岸拡幅工事によって(以前の)女子寮の手前まで土地が削られた影響で川沿いの女子寮の土台と外廊下、そしてトイレが崩れ落ちる事故が起こりました。幸いにもちょうど誰も外廊下とトイレに出ていない時間だったので人的被害からは守られましたが、建物が崩壊しないうちに早く新キャンパスに引っ越さなくてはと、皆がそう思いました。また(以前の)キャンパスの大家さんからは2025年末をもって賃貸契約を打ち切ることが知らされました。
建物も崩れそう、賃貸の契約も切れる、「主よ!私たちを新しいキャンパスに住まえるように建築プロジェクトを動かし、助けてください」。そのように切実な祈りの日々が始まりました。そして迎えた2025年、契約が切れる年の5月、ついに起工式を執り行いました。予算が満たされたからではなく、主が必要な経済を満たしてくださることを信じて。8月には本格的な工事が始まりました。実に土地を取得して5年の月日が経っていました。しかし幸いなことに、これによって埋め立てた土地が十分に引き締まるための3年もの時間を確保することができました。主は一切無駄なことはされない。そう確信することができました。ファンドレイジングを担う日本サイドは必要を訴える日々、祈る日々。バングラデシュの工事の現場サイドは年末までに完成させるために時間との闘いの日々、安全に良い建物を建てることができるよう祈る日々でした。皆の信仰と献身が試されました。しかし、教区をはじめ各地の教団の教職者や信徒、さらに他教団・他教派のクリスチャンたちからも支援と祈りがささげられ続け、この建築プロジェクトは主の奇跡を仰ぐものとされました。

四つの働きと新キャンパス施設が一つになるとき
児童養護、教育支援、小学校教育、隣人への働き、これら四つの働きは互いに結びつき、子どもたちの人生全体を支え、地域社会を祝福する働きとなっていきます。そして主は今、この四つの働きと新キャンパス施設をさらに一つに結び合わせる新しい段階のビジョンを示してくださっています。それが Joseph Project、ヨセフ型宣教です。

この名前は、旧約聖書の創世記に登場するヨセフに由来しています。ヨセフは神から与えられた知恵によって、豊作の年に備えを行い、やがて訪れる飢饉の時代に多くの人々の命を救いました。ヨセフの働きは単なる経済政策ではありませんでした。それは、神の知恵によって民の命を守り、明日を守る働きでした。
Joseph Projectもまた、同じ原則に立っています。それはPrepare Today for Tomorrow(明日のために今日備えよ)です。今日の社会は途上国のみならず、先進国においても明日が見通せない不安定なものとなっています。私たちが活動するB国はこれまでテロ、新型コロナ、燃料供給国間の戦争、国内政変、主な食糧輸入先である隣国との不仲によって文字通り絶えず日常が揺さぶられてきました。私たちの宣教を支援して下さっている兄弟姉妹が住まう日本も大変不安定な中に置かれています。私たちは今日備えなければ、明日は分からない日々を送っています。
しかしJoseph Projectはそこに希望の光をもたらします。これは施設の子どもたちの日常を守るために特化した保守的なプロジェクトではありません。子どもたちの日常を守りつつ、さらには地域社会そして世界にまで希望をもたらす挑戦的かつ隣人愛に満ちたプロジェクトです。
創造の秩序を学ぶ
Joseph Projectでは、農業、養殖、養鶏、畜産、酪農に取り組み、作物、家畜、人の営みを組み合わせて自然のサイクルを最大限に活かすことを通して、子どもたちが神さまの創造の知恵を学ぶことができます。
創世記2:15にはこうあります。
「神である主は人を連れて来て、エデンの園に置き、そこを耕させ、また守らせた。」(新改訳2017)
神は人に園を管理する使命を与えられました。人は自然の主人ではなく、神の創造の秩序を守る管理者としての務めがあります。
命の循環の中にある神の知恵
神の創られた世界には、美しい循環があります。土が作物を育て、作物が人を養い、人が働き、命は再び大地へ戻る。この循環の中に神の知恵があります。Joseph Projectはこの自然のサイクルを活かしながら、子どもたちの栄養を支え、地域社会に食料を提供し、働く力を育て、雇用にも繋げ、持続可能な宣教の働きを生み出します。
[背景画像:新キャンパス周りを畑にしたAIイメージ]
福音を生きる教育
しかしJoseph Projectの中心は農業ではありません。福音です。子どもたちは自然を通して神の創造を知り、神を愛し隣人を自分自身のように愛し、また互いに愛し合うという福音の生き方を学びます。
神の国の小さなモデル
Joseph Projectは一つの農業プロジェクトではなく、「神の国の小さなモデル」となることを願っています。そこは主の愛が実践され、命が守られ、人々が互いに支え合い神への感謝が満ちるところです。それはまさに、主イエスが教えられた神の国の姿です。
-1024x768.jpg)
今、主は私たちの新しいキャンパスを用いようと働いておられます。私たちは信じています。神はこの働きを一つのキャンパスから各地域へ、そして一つの国へ、さらには世界に広げてくださると。
終わりに
私たちの願いはただ一つです。この働きを通して一人でも多くの人が神の愛を知り、「言葉に表せない喜び(Delight)」を経験することです。
主が蒔かれた歓喜の種が、これからも豊かな実を結んでいくことを祈りつつ、読者の皆様の祈りとご支援を心よりお願い申し上げます。


皆様の尊いお祈りと捧げ物により新キャンパスにて児童養護施設が完成いたしました。ここに感謝をもってご報告させていただきます。今後は残る小学校の建築に取り組んでいきます。ホームページ「URL:delightbangladesh.com」をご覧いただき、祈りとご支援に加わっていただければ幸いです。教育支援センターの働きにつきましても今後とも継続していくために支援者を募集しています。

感想・コメントはこちらに♪