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『どうして私のような者が』新井龍三師:月刊アッセンブリー誌NEWS連動

『どうして私のような者が』

新井 龍三  水戸キリスト伝道所


月刊アッセンブリー
NEWS連動
– 引退に寄せて

2023年3月31日に引退された先生方による手記です。この記事は「月刊アッセンブリーNEWS 2023年6月号・引退レポート」に連動しています。ぜひそちらもご覧ください。

暗闇から光の中へ!

 今年の大河ドラマの主役である、徳川家康の人生訓。「人の一生は、重き荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず…」
 
 私は、酒酔い運転者による突然の事故に遭遇し、妻子を失いました。とてつもない人生の重荷を一方的に背負わされ、途方に暮れたのです。
 そのような暗闇の中に一条の光を見いだすことが出来たのは、その年、わたしの姉が洗礼を受け、病弱だった姉が目を見張るばかりに元気になり、信仰の力を知ったことでした。
 
 聖書を読んで初めて出会った言葉、「疲れた人、重荷を負って苦労している者は、私の元に来なさい。私が休ませてあげます。」
 この約束を信じて、私はためらうことなく、イエスさまの招きの言葉に従う決心をしました。
 
 私が信仰によって、重荷を背負って下さる主と共に歩み始めた時、予想をはるかに超えた私の新しい歩みに驚いた両親や兄姉達が、次々と信仰に導かれたことは、私自身にとっても思いがけない祝福でした。

思いがけない献身への道

 求道中に、私の心の深い傷が少しずつ癒される経験があり、それが「慈愛の父、全ての慰めの神」(Ⅱコリント1:3~7)との貴重な体験でした。涙が渇くのを覚えたのです!
 
 神様は実に不思議な事をなさる方で、まだ信仰の未熟な私に、長島ツル師を通して“あの者を引き出だせ!”との召命がありました。
 またもう一人の牧師夫人(故・白石享子師)にも祈祷会に於て、同様の召命があったのです。
 
 そのような導きの中で、更に当時結城教会の伝道者として赴任していた(旧尾崎邦江師)妻との全く思いがけない結婚にも導いて下さいました(私は、神愛結婚と信じています)。
 
 当時彼女には、交際相手も結婚願望も全くなかったのでしたが、新会堂の建設中の中で“この新会堂で私は結婚する”という思いが強く起こり、否定していたようですが、結局1年後に私達は結婚することになりました。
 
 彼女から、共にクリスチャンホームを築きたい!との申し出に心から感謝しています。

当時、教会の伝道者だった妻との結婚式

伝道者としての歩み!

 実は、妻子を失った大きな命の代償として、小さな土地と家を取得する予定でしたが、主の御心に従って全ての賠償金をご用の為に用いたい!と決心するに至りました。

 「悲しむ者は幸いです。その人達は慰められるから」とのイエス様の約束通りに、大きな慰めと希望を体験した私は、その恵みと祝福を絶望している人々に伝えたい!との願いと使命から、伝道者の道を歩み始めました。
 
 神学校2年生の時、故マクレーン宣教師に引率され学生4名を含む北陸地区伝道隊が結成されました。仏教信仰の根強い地域に、熱い祈りを携えてトラクト配布を行ったのです。
 
 松任での伝道集会の折、マクレーン師より突然、私にメッセージを語るよう指名され驚きましたが、救いの証詞を熱心に伝えた結果、若者が2名ほど信仰の決心をされました。
 
 写真は、公民館の長机の上に先生のトランクが講壇代わりにとなり、先生から頂いたネクタイが大変嬉しい思い出となりました。

北陸伝道時の伝道集会にて

伝道者生涯を振り返って!

水戸における開拓当時のプレハブ教会にて
私…メッセージ
妻…司会とワーシップリーダー
長男…事故当時、幼かった長男が小学生高学年となり、奏楽を担当

 生涯を振り返る? いえ、まだ途上です。生涯現役のつもりですし、最も人々に伝えた事は、愛と恵みは当然ですが、それは「赦すことに伴う祝福」でした。誌面の都合上、細かい説明は省きますが、要点はただ一つ「受けた傷がどんなに大きくても赦さなければ幸せは得られないのです。多くの人は、誰かに傷つけられたら、相手を恨み、憎み、拒絶して罰を与えるのが当然と考えています。しかし実際には全くの逆効果です。 …自分が益々傷つくだけです。ほんとうの赦しとは、相手の為にする行為ではなく、自分自身の為です。赦すことによって、心に溜めた悪意や怒りを放出し、心の自由を得ることができるのです。」
 
 これはある著書の引用文ですが、私の事故の加害者に対する激しい怒りの感情をコントロールするに十分な根拠を持つ、きわめて聖書的な内容です。むろん主の恵みに依存することなく、私が加害者を全く赦すことを実現することは不可能だった!と思います。

※著書紹介「」内の引用分 P116~
「脳にいいことだけやりなさい」
著者:マーシー・シャイモフ
訳者:茂木健一郎(脳科学者)

 最後に、私の力不足により水戸伝道所はクローズとなりましたが、私達の為に祈り献げ、支えて下さった諸教会の先生方、信徒の皆様に心より感謝とお礼を申し上げます。
 
 特に、伝道者として全くふさわしくない者を 暖かく迎えてくれた妻、開拓当時より教会献身者として忠実に働きを共にして下さった役員たちに感謝します。 

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コメント一覧 (1件)

  • 大好きな先生方、邦江姉と龍三兄の馴れ初めを、初めてお聞きしました。神愛結婚、まさに麗しいキリストの香りを、いつもどこでも放つ仲良しのご夫妻でした。
    夫婦が共にキリスト者であることがどんな素晴らしいことか。人格が穏やかで落ち着いていて、常識的で思いやりに満ち、すべてが清く、結婚が誰からも尊重され、ユーモアがあって、忍耐力があって、自制心があって、優しくて明るくて力に満ちている、etc.という事を、新井家のお宅の礼拝で知りました。
    なかなか出会いがなく、遅い結婚をした私は、お二人という神に用意された結婚のお手本があることがとても幸せで恵みでした。
    そうした意味ではお二人は私にとって霊の両親です。
    先の奥様とお子さまの話は、最近まで全く存じませんでした。
    邦江先生との結婚の経緯も、詳しくは知りませんでした。
    なのでご長男の兄弟は、邦江さんににそっくりだなぁと思っていました。
    そっくりでしょ?とお二人共笑っておられましたから。
    都会的なのに温かく、しゃれの効いたお喋りが今も懐かしいです。
    いつか天国に帰ったら、邦江先生と沢山お喋りの続きをしたいです。
    様々な信徒たちに忍耐された時、どうやってひとつひとつ乗り越えられたのかも、お聞きしたいです。
    新井家の皆様が「神を信じる者のためには、神は全ての事を、益と変えて下さる。」それを体現されている事に、とても力強い励ましを感じます。
    今後の新井家のお働きにおいても、皆様の中におられるキリストの豊かさを通し、周りの方々に祝福が豊かに流れますよう、又守りと導きとを、主イエスの御名でお祈りします。

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