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認知症の介護について③

認知症と
 予防について

柿谷 孝子

須崎キリスト教会牧師
ベテルホームすさき施設長

認知症の予防には、

① 孤立させない、寂しくさせないようにしましょう。辛かったことにとらわれているようなら『つらかったですね』と共感してあげましょう。何事も無視しない事、決して子ども扱いもしないよう気を付けましょう。

② 少しずつ出来ていた事ができなくなるのですが何とか自分でできたことに対して介護者が直したり、否定したりすると喪失感で悲しくなり心は不安定になってしまいます。そうなるとやがて作り話をするという症状が出てきます。

➂ 失敗しても怒ったり、責めたりしない事です。同じことを何回も言ったり聞いたりするときも、初めて聞くかのように受け答えしてあげましょう。

➃ スキンシップも大事です。悲しい、寂しい、不安になっているため、介護者はそっと肩に手を当てて声掛けをしたり、手を握って話を聞いてあげたりしましょう。優しさやぬくもりが伝わります。

➄ 自分の居場所を居心地悪く感じてそこを出て行こうとします。出来るだけその人らしい好みの物、なじみの物で(写真を飾るとか)して心地よい落ち着く環境を整えてあげることも必要です。

➅ 本人は人の役に立ちたい、何かしたいと思っているので、簡単な洗濯物をたたんでもらうとか、テーブルを拭いてもらうとか、玄関をはいてもらうとか状態によって役割を持ってもらうことが生きがいにつながります。依頼するように話し、してもらったときは『助かります』と感謝の意を表しましょう。

➆ 入浴をしない、服を着替えない等も良くあります。どれも工夫や忍耐が必要です。『今日のお湯はゆず湯ですよ』とか『足湯だけでもしましょうか』『きれいな一番湯ですよ』とか。無理やり脱がそうとしたり強制的にならないよう働きかけましょう。夏なのに厚着しているとき『今日は暑いですね。私、さっき一枚脱いだら涼しくなって気持ちよくなりました。〇○さんもこの一枚脱いでみませんか』等。又、『もうすぐケアマネさんが来られますからお着替えしときましょう』とか『お買い物に出かけるのでステキなこの洋服に着替えていきましょう』と着替えを助けてあげるとよいでしょう。

➇ 盗られ妄想も良く出てきます。原因は不安感の事が多いです。自分がどうなっているのか良く分からない、こんな事もあんなこともできない感じがある等の不安が大きいでしょう。大事なものを大事にしておこうと誰にもわからないようなところに入れ、そのことを忘れて誰かに盗られたとなります。一緒に探してあげて見つかった時は『あそこにありましたよ』と出してあげると『あなたが盗っていたのに隠し切れなくなって今だしたんでしょう』となるのでそのままにしておき『お母さん、その辺を探してください。私はこの辺りを探してみます』等と言って本人に見つけてもらいましょう。又は対応する人を変えることもいいでしょう。近くにいる人ほど犯人にされますので。施設などでもいつもかかわる職員が泥棒にされ胃を悪くした人がおり勤務場所を移動した事がありました。本人の体調不良(便秘等)の時などにもこの症状が起こることがあります。

 認知の予防に大切なもう一つの事は食生活の充実です。

 たんぱく質などを取り入れたバランスのよい食事をしなくなることで認知は発症し進みます。60歳からは野菜中心の食生活でお肉などは年を重ねると不要と考える人がいるようですが実は60歳からこそ肉も魚も玉子、豆類等のたんぱく質が必要となります。女性であれば閉経などでホルモンのバランスが崩れている状態のところに栄養を摂らないでよいと考えるのは間違っているといえるでしょう。骨にも脳にも益々の栄養が必要なのです。ある人は独居でおろそかになっていた食生活が誰かと同居することになり栄養が取れ、貧血も治り元気になって出来なかったあれこれが出来るようになって喜んでおられます。

 ではどんな食材がよいのでしょうか。

  • 青魚(アジ、サバ、イワシ、サケ等。)お肉は何でもいいでしょう。嫌いな人もいるかもわかりませんが豚肉は良いと思います。 
  • 緑黄色野菜もたくさん撮ることが大事です。(小松、ブロッコリー、ホウレンソウ、人参、モロヘイヤ等)これらに含まれるカロテノイドという物質が動脈硬化の予防になります。動脈硬化の悪化で脳血管障害になり認知症へと進みますので心して食しましょう。 
  • ゴマやクルミは、悪性コレステロールを善玉コレステロールに変える働きがあるので食しましょう。 
  • 牛乳にはトリプトファンという物質が含まれており、不眠解消や集中力、記憶力を高める効果があります。
  • よく噛むこと。それによって消化もよく、脳の刺激や血流も増してきます。 
  • 水分は1日1からⅠ,5ℓを飲用しましょう。水分不足が脱水になり認知症を引き起こすことがあります。 
  • うずら卵は脳の記憶をつかさどる海馬に直接作用するといわれています。ある女優さんは週に何回かステーキを食しているとか。飲食を大事にし、認知症の予防に努めていきたいものです。 

   次回はこんな時どこへ相談したら? 介護の軽減は?等について考えたいと思います。

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コメント一覧 (1件)

  • 体験から習得した知恵・知見の開示有難うございます。よくわかりました。。
    お風呂大好きな私としては⑦は意外な事でした。でも、動くことが面倒になって、ぐずぐず家の中にいる自分への警告として受け止めました。
    人間関係による精神的な健康、食事による肉体的な健康、大事なんですね。
    後期高齢者の私、心して日々を過ごしたいもの、と思いました。
    健やかに過ごす知恵を頂きました。
    ありがとうございます。

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